クリアなあした。Hasta mañana!

カオスな意識をクリアにする=夢が叶う


スポンサーリンク


読書録「海の歴史」ジャック・アタリ著

昨日は海の日でした。少し前に読んだ本のテーマが海だったので読書録を書き上げようと思います。

今週のお題「海」

海の歴史。

2019年の私の読書テーマは「歴史の学び直し」。歴史や世界史と名の付く書籍をKindleにたくさんダウロードしているので、Kindleおすすめ商品に「海の歴史/ジャック・アタリ著」あがってきました。Amazonさんに購買分析されてリコメンドされているのは承知のうえで、これは読みたいなと思い購入。

また2019年は年明けをインド洋モルディブの島で迎え、東アジアの主要港都市シンガポールで3か月過ごし、平成から令和へと年号が変わる節目を島国日本で祝い、その後地中海貿易で栄えたスペインのバルセロナに移住しました。個人的な身の上に起きたこれらの出来事が、私の興味関心を海に向けてくれた気がしています。

 

 

 読んだ時期、場所

  • 2019年6月~7月
  • スペイン バルセロナなど(寝る前や移動中など)

 

感想

地政学的観点から海の重要性を示すことが本著の大テーマですが、地球上における海の形成や生物の起源、そもそも水ってなんだっけ、というようなことまでたっぷり描かれています。海の重要性は感覚的に誰しもがわかっていることだと思いますが、今まで「感覚的」だったことが、史実やデータに基づいた説明によって「知識」として頭に入ってきた、そんな読後感です。

 

生命は絶滅し高度になって復活する

かつて氷河期や海面上昇など地球全体の気候変動で多くの生命種が死滅したこと、その際絶滅したのは海より陸地で生息する生物種のほうが多かったこと、その後に復活した生命はより高度な生物種であったことなどをあげ、

あたかも多くの生物種が絶滅することが、より高度な生物種が誕生するための必要条件であり、生命を保護する聖域は海だったかのようである。

と著者は語っています。まさに今、世界で起きている気候変動こそが、地球の歴史上で生物が大量絶滅したときの環境だといわんとしているよう。

 

生命はポータブル海を携え陸地へ進出した 

そしてその後、動物種の爬虫類が海から陸地に進出するという生命にとって大きな転機を迎え、爬虫類は陸地という新たな世界でトカゲやヘビ、カメ、ワニ、恐竜、獣弓類などに進化し続けます。

魚類は生殖と懐胎の場として海を利用するが、陸地に生息する動物の湿った総排出腔は、雌の携帯用の海として機能した。

というように、私たち人間もおかあさんのおなかの中で羊水に浮かび育ちますが、胎盤の中の羊水の成分は海水とほぼ同じ。また妊娠初期の胎児はタツノオトシゴのような形をしていることから、産道を通って母体の外に出てくるまでのあいだは生命が海で進化して地上に上がってくるまでの過程をなぞっているかのよう。

 

恐怖心がヒトを動かす

最初のヒトと言われるホモ・エレクトスは、アフリカから徒歩で旅を続けマレーシアまで辿り着くものの、その地で火山の大噴火に遭遇し避難を余儀なくされた。ホモ・エレクトスはインドネシアのロンボク島とバリ島の海峡を渡り、フローレンス島にたどり着いたというが、その海峡は強い海流があり泳ぐことは困難だったため、彼らは象の背中に乗って海を渡ったという。

彼らは火山噴火の恐怖から逃れるために、水平線の彼方に何があるのかもわからないのに、泳ぐのではなく象に乗って海を渡ったのである

差し迫った恐怖を前にしたヒトは、未知の世界に飛び込むことも厭わないさまを言い表している。

 

海を上がってヒトへと進化したのに、ふたたび海を目指すヒトたちの歴史

その後、初期のヒトは帆船を造り海に出た。海中生物が陸地に進出し、あらゆる進化を続けてヒトになったのに、また海へと引き寄せられていく。

中国商人は船乗りでもあったこと、ユダヤ人が生き延び信仰を続けるために海旅は有効な手段であったこと、ローマ帝国が地中海覇権を手にし長きにわたり繁栄したこと、大航海時代を経て世界の覇権が形作られたこと、たくさんの海戦が繰り広げられ今に至ることなどが細かく記されている。つまり、

経済、政治、社会、文化の支配権は、海と港を支配する術を心得た者たちが握っていた

これは今の時代も変わらない。だから領有権をめぐる国家間の軋轢がたえない。

 

経済的にも重要な海

世界中のモノが交換される今は、海上貿易がなくては成り立たない。航空機輸送出できるモノは限られている。

石油、小麦、動物、工作機械、トラック、自動車、電化製品などは飛行機では運搬できないからだ。また、鉄道やトラックでは、限定された地域にしか輸送できない。

さらに、ベトナム戦争をきっかけに「箱」の形状をしたコンテナを利用した海上輸送が普及し、積み上げて大量に輸送したり、港倉庫での保管したりすることが容易になった。

世界にいて輸送が生み出す価値の内訳は、半分以上が海、三分の一が空、残りが陸である

という。著者は著名な投資家であるから、「輸送」という目に見えないコトの(資本主義的な)価値がどこにどの程度あるのかよくご存じ。海賊は資本家に、海賊船は商業船に姿を変え今も生きている。

 

海底のラビリンス

海の底には海底ケーブルが何本も走っている。人口衛星を利用したデータ通信も必要ではあるけれど、今のところは海底ケーブルによるデータ通信が重要な手段なのだという。そしてその海底ケーブルはアメリカが生産し支配している。既存の海底ケーブルはまだ容量に余裕があり、

大西洋間の13本の海底ケーブルは、最大容量の20%しか利用されていない

らしいが根拠は不明。今20%だとしても、5G通信になったらあっという間に容量オーバーになりそう。

 

海の資源はだれのもの

海にはガス田や油田といった資源が眠る。

今日、海底油田での石油生産量は全生産量の30%を占める。天然ガスの全生産量の27%は海上ガス田である。現在、海底油田の掘削は水深2000メートルを超す

という。資源が海にあることはみんな知っている。その資源をだれかが掘ってくれて、だれかが製油してくれて、みんな快適な生活をするために使っている。しかし海底掘削には当然大きなリスクもある。原油が海に流れ出る事故も起きている。海は誰のモノでもないと同時に、海はみんなのもの。海底資源の恵みはみんなのもの。リスクもみんなのもの。

 

これからの海

海の上ではさまざまなモノが運搬されて、海の底には何本もの通信ケーブルが走り、海底の深部では資源開発が進められている。地球上の水の総量は「13億8,600万㎦」で、そのうちの96.5%が海に、のこりが河川や湖にあるという。使える水の量は限られている。

われわれの身体の70%は水でできている。血漿はほとんど水分であり、腎臓は81%、脳は76%が水分である。ヒトは代謝老廃物を排泄し、体温を維持するために、水を飲む必要がある。

当たり前のことが書いてありますが、利用できる水の量はほぼ決まっているからこそ、その水質が変わってしまうとみんな困ります。5月1日に即位された令和天皇は水問題をライフワークとされている。世界中で水問題が重要視されているこのタイミングで、人生を通じて水問題を研究されてきた方が天皇陛下になられるというシンクロ。 これから水問題がどうなっていくのかは個人的に一番気になる関心ごとです。

海底ケーブルは、サメに喰われたり自然劣化したりするほかに意図的に破壊される可能性もある。飲料水として適した水は不足し続けており、2050年には50億人以上が水ストレスの状態に置かれると予測されている。海の資源としてもうひとつ大切な「砂」資源であるがこれも住宅や道路の建設をはじめ国土拡大のために埋立地計画などで近年大量に使われ枯渇が進んでいるという。

少し前に話題になった海に漂うプラスチックごみの問題も深刻で、マイクロプラスチックと呼ばれる微粒に砕けたプラスチックは海塩にまぎれて含まれている。

海の食物連鎖の頂点に位置するマグロは避ける。(中略)一般的に、食物連鎖の上層にある海洋生物ほど毒素が体内に濃縮されている。

でも私はこれからもマグロ食べたいです。プラスチックごみ問題については色んな意見があるけれど、東京荒川河川敷の清掃ボランティアを行った時に河川敷に流れ着くプラスチックごみの凄まじい量を目の当たりにしているので、この問題は大げさでな話でも何でもなくて、やっとこの問題が認識されるようになったか、という感想。この川のごみが上流から下流に流れ、海へとたどり着いて魚が食べてしまう姿は容易に想像できる。実はゴミを海や川に投げ捨てる人はそんなにいないと思う。でもどこからかゴミはやってきて流れつくのも事実。わたしはこれからもおいしいマグロやウナギを食べたいので、道にゴミが落ちていたら拾うのだ。

 

海にはすべてを浄化するチカラがある

f:id:shibuyaumeboshi:20190716223847j:image

昔から海にはすべてを清浄するチカラもあると世界各地で信じられてきただけに、海にまつわる諸問題が臨界点に達した時どうなってしまうのか。

ちょうど7月の東京の日照時間が19日連続3時間未満という短さを記録したニュースを観ました。2018年は日本各地で猛暑、豪雨、台風暴風などいままでに経験したことがない異常気象の被害に遭ったことも記憶に新しい。人類が気候変動に対応できず絶滅するのかはわかりませんが、私の動物的勘では今のように快適に生きていける時間もう長くない気がしています。

だからこそ、好きなことができ、好きな人といっしょにいられて、好きな場所に行ける自由に感謝して、一日一日を大切に過ごしたいと思います。